なぜ人は、「この人」ではなく別の「あの人」に「より多くの支援」をするのでしょうか? クレディビリティとリーダーシップ


なぜ人は、「この人」ではなく別の「あの人」に「より多くの支援」をするのでしょうか?

多くの人が「より多くの支援」をすると、「あの人」がパワーを持ちます。パワーを与えられた「あの人」は、リーダーシップを発揮できるようになります。

何らかの「動き」を起こしたいと思う人は、リーダーシップを必要とします。
どうすれば、「動きを創りだすリーダーシップ」を得ることができるでしょうか?

2001年、当時まだベンチャーブームがあり、「なぜ企業家が成功するのか」というテーマで、企業家のリーダーシップを研究しました。

ベンチャー企業家(起業家)は、大組織の経営者や管理者と違って大きな資本や資源を持っていません。自らを資源として、資本や他の資源を惹きつける必要があります。「惹きつける」、この働きが、まさにリーダーシップです。押し付けるリーダーシップではなく、なんらかの魅力で、多く人が自分に資源を投資してくれるように働きかけるリーダーシップです。

では、いったい自分の資源の何がもっとも有効なのでしょうか、論文「企業家とクレディビリティ」にもとづいて考えてみたいと思います。


企業家

企業家の成功は、結局は「人間的魅力による」といわれています。この「人間的魅力」は具体的に何なのでしょうか。

ほとんど資源を持たないスタートアップ段階の企業家は、自分のネットワーク(人脈)から資金、人材、知識、情報、エネルギー、信頼、愛着などの見える資源や見えない資源を積極的に活用する必要があります。そのためには、ネットワークの人々が資源を提供したくなるように、自分の事業ビジョンがいかに魅力的か、おもしろいか、価値あるものか、事業計画がいかに実現性が高く、多くのリターンを生みそうか、などを示す必要があります。

資源を提供したいと感じる人々(資源提供者)は、お金を投資する投資家だけではありません。カネやモノを提供する投資家や支援家たちは、もちろん資源提供者です。知識や情報、あるいは活動の場を提供する人々も資源提供者です。信頼を寄せる人々も、信頼という見えない資源を提供し、企業家がそれによって元気が出るならば、カネやモノを投資しなくても、資源提供者ととらえます。愛着を持ってくれる人々も、商品やサービスを購入し続けてくれる、使い続けてくれる、協力してくれる、応援してくれる、など企業家の活動を物理的にも心情的にも持続させてくれるのであれば、資源提供者です。その意味では顧客も資源提供者ととらえることができます。

つまり、事業を創造し、持続するための資源を提供してくれる人々は、この企業家を、他の人ではなく、積極的に選んで資源を提供している資源提供者ということになります。

参考)「資本の概念の変化

クレディビリティ

クレディビリティとは、「『見返りをくれる実現性』がもっとも高いと信じさせる働き」です。ですから、他の人ではなく、「この人」に資源を提供するのです。もちろん『見返り』は、自分がほしいものでなくてはなりません。

たとえば、カネを投資するなら、もっとも高い利息を返してくれそうな対象に投資します。モノを買うなら、もっとも使いやすそうなもの、あるいは効果のありそうなもの、あるいは好きなものを買います。

結婚するなら、もっとも幸せになれそうな人と、あるいはぜいたくな暮らしができそうな人と、あるいは賢い子供が生まれそうな人と、一緒になります。ビジネスを一緒にやるなら、もっとも金儲けができそうな人たちと、あるいは楽しく仕事ができそうな人たちと、あるいはもっとも価値ある仕事ができそうな人たちと、判断基準は様々ですが、当事者たちのそれぞれの価値観で、「もっとも~~~できそう」な対象に、自分の大事な資源を提供します。

「もっとも~~~できそう」と信じさせる働きが、クレディビリティです。



クレディビリティとリーダーシップ

「もっとも~~~できそう」という期待を、期待利益と呼んでいます。利益とは、カネやモノだけではありません。自分にとってプラスになるものは、すべて利益です。幸せという気持ち、気持ちいいという感覚、満たされている充実感を得られたら、それらはすべて利益です。

「もっとも~~~できそう」という期待利益を信じさせることがクレディビリティであり、クレディビリティがある人に、人は資源を提供して見返りを求めることになります。つまり、クレディビリティのある人にリーダーシップがあるということになります。

期待利益に対するクレディビリティを示すことで、その期待利益と実現性の高さに魅力を感じ、資源を提供してくれる人々が集まってきます。人々が集まればネットワークができます。期待利益を実現することで、クレディビリティは高まります。そして、クレディビリティが高まれば高まるほど、ネットワークは強固になり求心力は強くなり、ネットワークの中心にパワーが生じます。このパワーがリーダーシップの源泉になります。

クレディビティが高まると、ネットワークは拡大もします。ネットワークは、リーダーにとってのフォロワーたちです。カネやモノといった従来型の資本を持たない企業家であっても、クレディビリティを高めることで、ネットワークを創りだし、ネットワークを動かすリーダーシップを発揮し、企業活動や社会活動などさまざまな活動を進めることができるようになります。


リーダーシップを研究、学習するにあたって

これからのリーダーシップを学習するためには、大資本や大企業、組織という固定的な枠を前提としたリーダーシップではなく、流動性の高いネットワークをいかに活かすかという視点で考える必要があると考えています。

そのためには、このようなクレディビリティの考え方が有効だと考えています。


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