2015/06/18

なぜ教科書を創りたいと思ったか


「30代のあなたに贈る12のリーダーシップ・ストーリー」

<まえがき・序章より抜粋>


リーダーシップは循環する

リーダーシップを、経営エリート教育ではなく、だれもがあらゆる場で使えるように研究し、教育し、出版する教育機関、その領域の専門家や教育者を養成する大学院を創りたいと思い、ダメモト、手探り、試行錯誤、諦めない、の精神で、ようやくリーダーシップ研究大学(University of Leadership Studies)というインターネット大学院(米国カリフォルニア州、日本語・英語対応)を夫と共同設立しました。

このような試行錯誤や諦めない精神は、行動科学と状況対応リーダーシップ®(S.L.理論®)の学習を通して生まれたと思います。わたしにとって特に印象的な考え方は次のようなものです。

  • 赤ちゃんがミルクを欲しがって泣いたとき、おかあさんがミルクをあげたら赤ちゃんは目標達成したことになり、リーダーシップを発揮したことになる。
  • 目標は低すぎても高すぎてもやる気が起こらない、ちょっと背伸びするくらいのチャレンジがいい。
  • 「こうなると思って行動していたらそうなる」という自己充足的予言。
  • タスクは「◯◯管理」のように曖昧な表現ではなく、具体的に「◯◯すること」というように行動指標で表現すること。そうすれば、進捗状況をレディネス(能力・意欲)で測ることができる。
  • リーダーシップは自分が発揮するのではなく、相手がどう受けとめてどう行動するかが重要。
  • リーダーシップはプロセス(働き、機能)、人ではない。
  • 状況対応リーダーシップ®は記号で示されているので簡単に関係者の間で共通言語として理解し合える。
仕事の場面でも新しいチャレンジの場面でも人間関係でも、この考え方で助かったこと、乗り切れたことがたくさんあります。一言でいうと、この考え方を知ることによって、行動することが楽になった、新しいことにチャレンジしたくなった、試行錯誤をしたくなった、諦めなくなった、人間関係で悩まなくなった、などがあります。

赤ちゃんのリーダーシップがあるくらいですから、だれにでもリーダーシップはあります。リーダーシップを知ることで、だれもが安心して納得して前進できれば、元気も出るし、新しいことにもチャレンジできます。そういう人を見るとこちらも元気になってチャレンジする気になります。

リーダーシップは循環する、だれかが始めれば社会全体に広がる、そんな風に感じています。


だれもがリーダー

どんな種類の組織でも、大きな組織でも小さな組織でも、積極的に活動するメンバー、単にいるだけのメンバーなど活動の程度に差はありますが、だれもがなんらかの「活動」をしています。活動している人は、動いているわけですから、なんらかの方向(目標)を持っています。リーダーシップの定義によれば、目標を持っている人はリーダーです。本書では、「だれもがリーダー」という基本的な考えで進められますが、それは「だれもが自分なりの目標をもって活動している」という意味です。

本書では、だれもが発揮できる効果的なリーダーシップについて考えていきます。大物成功者やカリスマやエリートのリーダーシップではなく、日頃使えるわたしたちのリーダーシップです。

「うまくやってくれ」と言うだけでは他人も自分も動けません。うまくやるハウツーを知るだけでも、「なぜ」がわからないので長続きしません。なぜ人は動くのか、なにをすべきか、どうすべきかを知ることで、効果的なリーダーシップを筋道を立てて学習することができます。


教科書の読み方

第1章は、「ロボットを生み出す上司」、「民主的すぎたリーダー?」、「気持ちが落ち込んだ部下」を題材に、リーダーシップの基本として、タスクのとらえ方と状況対応リーダーシップ®の紹介をしています。

第2章では、行動科学と状況対応リーダーシップ®の基本的な解説をしています。

第3章では、「あの2人は連れていけない・・・」、「上司に働きかける部下」を題材にパワーの紹介、「横浜市とサンディエゴをつなぐプロジェクト」と「英語・中国語を公用語にした小学校」を題材にS.L.セルフとネットワーキングを、「C社の上場」と「お菓子作りを経営」を題材にタスクのとらえ方を掘り下げました。

第4章では、リーダーシップの未来のカタチとして、「大学生のリーダーシップ」、「南アフリカでのファンドレイジング」、「リーダーシップ世界大会 1人のばかの思いつきが現実に!」を題材に、だれもがリーダーの視点を紹介しています。

第1章から第4章まで理論的な解説には、本文中や図表に( )付けで上記の「入門から応用へ、行動科学の展開新版」のページ数を記しました。より詳しく学習したい場合は、ぜひ該当ページを参考にしてください。その他の引用文献については、( )内に文献名を記しました。

最後の付録では、リーダーシップ・ストーリーを、解説で紹介した項目のいくつかを使って整理しています。また、現代のさまざまなリーダーシップ現象や読者のみなさん自身のリーダーシップを診断分析できるよう、そして、実際のリーダーシップの場で使えるよう、行動科学および状況対応リーダーシップ®の枠組みを使った「考えるための質問」をいくつかリストしています。正解はないので、「わたしなら、どのような行動をとれるのか選択肢を出すこと」が重要です。それがリーダーシップ行動の第一歩になります。

また、いつでも必要な用語や考え方を探し出せるよう索引も用意しました。本書を、教科書や参考書のように使っていただければ幸いです。


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